>   >   >  Framingham研究
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まとめ

 紀元前200〜300年ギリシャ・ローマ時代の平均寿命は27年であり,1900年には47年となった。すなわち,2000年以上かかって20年寿命が延長したことになる。一方,20世紀の終末までを振り返ると,わずか1世紀で寿命は30年延長し,その延長には伝染病の制御,感染症に対する抗生物質療法,予防接種,食物や環境の安全性の向上が貢献している。特にわれわれの時代の寿命の延長には心血管疾患の抑制が大きく,Framingham心臓研究の関与は直接的で同時に極めて大きいといえる(Flutterman LGら,2001) 3)3) Futterman LG, Lemberg L. The Framingham Heart Study: a pivotal legacy of the last millennium. Am J Cit Care 2000; 9: 147-51.

 同研究は,従来の血圧評価に関する誤った概念を修正し,軽症高血圧の重要性,高年齢の重大性,左室肥大の危険性を明確にし,収縮期高血圧および脈圧の重要性を指摘している(Kannel WB,2000) 4)4) Kannel WB. Fifty year of Framingham study contri-butions to understanding hypertension. J Hum Hyper-tens 2000; 14: 83-90.。さらに脂質面の同研究成績も加え動脈硬化性疾患発症の危険度の評価も可能になったと述べられている(Kannel WB,2000) 5)5) Kannel WB. The Framingham study: its 50-year legacy and future promise. J Atheroscler Thromb 2000; 6: 60-6.

 Framingham研究による心血管疾患発症の自然歴と危険因子の解明は,その予防に大きな解決への道を開いた結果となった。Framingham心臓研究の主任研究員Kannel WBによれば,「心血管事故は,治療すべき第一の適応というよりは,医学的に失敗した結果とみなすべきである」との見解も(Flutterman LGら,2001) 3)3) Futterman LG, Lemberg L. The Framingham Heart Study: a pivotal legacy of the last millennium. Am J Cit Care 2000; 9: 147-51.,予防医学の立場からは,おおよそ当を得たものといえる。このような時代が近いと期待したい。

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