おわりに
高脂血症の分野は過去20年間は基礎的な研究が先行してきたが,最近はその実用段階に入った感がある。血管壁の細胞動態に対する介入も,実際の治療に応用できる日も決して遠くないような状況になっている。特に高脂血症治療による動脈硬化予防試験の結果は目を見張るものがある。このような実際的な事実から再び基礎的検討を要することも示され,まさに基礎と臨床とが車の両輪のごとき役割を果たしているように思われる。
残念ながら,冠動脈疾患の少ないわが国で高脂血症治療がどの程度国民の疾病構造を変えることができるのかという点に関してはまだ結論が出せない。是非ともわが国でのデータが欲しいものである。新たな進歩が期待できる。